サブスクビジネスを成功させるのはKPIと行動の紐付け、
Salesforceだけでは得られないユーザーヘルススコアを活用する(前編)

"先駆者に聞く"では、サブスクリプションモデルのビジネス(以下、サブスクビジネス)に携わる人に、サービスにおける運営の秘訣や大切にしていることなどを伺い、サブスクビジネスを成功させるヒントを掴むためのコンテンツをお届けします。

今回お話を伺った株式会社 Prazto(以下 Prazto)は、Salesforceを中心としたSaaS導入における課題の解決を支援する「SaaS導入コンサルティング事業」を展開しています。

同社は、SI企業のように顧客の要望に応じてSaaSの導入支援をするだけでなく、SaaSの利用定着化までサポートし、お客様のビジネスの成功を支援しています。
そんなPraztoが支援する企業の多くは、自社でサブスクビジネスを展開して業界でも成長を続けている、SaaSのスタートアップ企業です。

サブスクビジネスを展開している企業の課題とは何なのか、それに対しPraztoではどのようなアプローチで支援しているのか、Prazto代表取締役の芳賀怜史氏に話を伺います。

※本インタビューは2021年10月に実施されたものです。

SaaSでサブスクビジネスを展開している企業の課題とKPIは共通する

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オプロ

まずは、Prazto設立の背景と芳賀さんのこれまでのご経験について教えていただけますか。

 
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芳賀氏

Praztoは2019年1月に創業しました。ビジネスとしては、顧客におけるSalesforceなどのSaaS定着化および導入・開発支援のコンサルティングサービスを展開しています。
既存のSI企業とは異なり、伴走型の支援でSaaSの定着化にフルコミットしているのが特徴で、エンジニアが80%というエンジニア中心の組織で対応しています。

サービスとしては主にSalesforceの新規導入・開発支援と定着化のための伴走型支援の2つがあり、それらの割合は半々くらいです。導入して終わりではなく、導入後にSalesforceの活用を通して、お客様のビジネスの更なる成長に寄与できればと考えています。

例えば、我々の創業時から現在もお取引させていただいています大手有名HR Tech企業様は、我々がご支援させていただいた当初は190人くらいでしたが、今は500人を超える規模にまで成長されています。
これだけ拡大されてビジネスが変化すれば、利用しているSalesforceも変化させなければなりません。

そこで我々は、伴走型支援でお客様と一緒にSalesforceの活用の仕方も変化させていきます。大手有名HR Tech企業様でも新たに大企業をターゲットにしていく方針が出てきたため、Salesforceの使い方をどう変えていけば良いかをお客様と一緒に考え、取り組ませていただきました。

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芳賀氏

私自身は、SI企業でエンジニアを経験し、続いて事業会社のIT部門でSalesforceの導入に携わりました。その後はSalesforceのゴールドパートナー企業でエンジニアとして従事していました。
そこから独立し、今は経営を見ながらリードコンサルタントおよびプリセールスとしても現場に出ています。

現役コンサルタントを続けているのは、会社を大きくしていく際、経営だけを見ているのではなく、お客様が抱えている課題を忘れないよう、お客様から離れず伴走することが大事だと考えているからです。

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オプロ

コロナ禍で顧客のビジネス環境にも変化がありました。
DXが加速しており、「物売りからサービス化」で新たにサブスクビジネスに取り組む企業も増えているのではと思われます。

Praztoの顧客には、そういった変化に積極的に対応している企業も多いのではないでしょうか。

 
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芳賀氏

我々の最初のお客様は、Salesforceを使い自社でSaaSを展開している企業でした。その後もそのお客様から別のお客様を紹介していただき、さらにそのお客様が別の企業を紹介していただく、という形でお客様が増えています。
結果的に我々の顧客には、SaaSでビジネスを展開している企業様を多くご支援させていただいております。

SaaSでビジネス展開されているお客様の課題感としては、実は類似している部分があると感じています。SaaSのKPI手法としてはさまざまなものがありますが、MRRやチャーンレートにフォーカスし、リニューアルをどうするかなど、SaaSのビジネス成長のあり方について他社様の事例や取り組みを知りたい、という要望は共通しています。

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芳賀氏

SaaSビジネスを展開している企業様がSalesforceを導入する理由の1つとしては、「顧客への対応が属人化するのを避け、仕組み化をする」ということが挙げられます。
これはまさにSalesforce社が提唱する営業効率最大化のための仕組みである「The Model」(ザ・モデル)の概念です。

インサイドセールスからフィールドセールス、さらにカスタマーサクセスの間で、情報の受け渡しをどうするのか。Praztoでは「Salesforce上でどのように設計するのか」の設計・構築部分をサポートします。
さらに更新した契約・案件をどう維持するか、カスタマーサクセスの担当者が更新時にどのように情報管理すれば良いかについても考え、それらのためのSalesforceやBIでの仕組みをお客様と同じ目線に立ち、お客様とともに検討・構築します。

そうして、さまざまなSaaSのKPI手法とThe Modelの一連の情報の繋がりをどうするか、全体を加味してデータモデルを整理していきます。

伴走型の支援においては、お客さまに対して毎月何らかの支援成果等は出させていただきますが、その際も、最終的にお客様が求める姿を設計した上で継続的な支援をしていくことになります。

KPIを作る際には行動を紐付けて管理することが重要

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オプロ

KPIを作る際に重視するポイントはどのようなところになるのでしょうか。

 
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芳賀氏

KPIを作る際には、どのようなアクションを起こすかを合わせて考える必要があります。
例えば、カスタマーサクセスの担当者が担当顧客の成長を測るためにMRRを見ることがあります。また商談の完了率、失注であれ受注であれ商談がどれくらいの期間で完了しているか、商談の規模など、MRRを因数分解してKPIにすることもあります。

まずは、どういうアクションを取るかの指針と、KPIを紐付けて管理することが重要です。

その上で、お客様のビジネスについてはお客様自身が一番の専門家ですので、お客様の課題やSalesforceでどんなことを実現されたいかをしっかりとヒアリングさせていただき、Salesforceであればこうである、というベストプラクティスとなるところをご提案いたします。
そうしてお客様と話し合いを重ねながら、お客様のPDCAサイクルを加速できるように支援します。

Salesforceとしてはこうあるべきだという姿はご提案させていただきつつ、試行錯誤を繰り返し、お客様と一緒にSalesforceで可視化すべきKPIと行動を調整していきます。

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オプロ

PraztoではTableauを使い、データ活用の面からの伴走型支援を得意としているとお聞きしています。
SaaSのサブスクビジネスを成功に導くためのデータ活用のポイントとしては、どのようなものがありますか。

 
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芳賀氏

主に、Salesforceだけでは手が回らないところでTableauのようなBIも使います。
例えば「今月のMRRと先月のMRRを比較してどれだけ伸びたか」を見ようとすると、Salesforceだけでは少々表現しづらい部分があります。
また、2020年1月に予算が1億円計上されていて、それに紐付く商談の実績データがどれくらいあるか、Salesforceだけだと思い描くグラフを表示するのが難しかったりします。

比較、対比といった見方をしたい場合も、TableauやCRM Analytics(旧名称:Tableau CRM)を活用するケースが多くなりますので、Salesforceならこれ、TableauのBIならこれ、というのをお客様と何度も話し合いを重ねて構築していきます。

Praztoは「お客様が決めた結果」をただ作るのではなく、「決めるプロセス」の部分からお客様とともに構築していくのが特徴の1つです。
このKPIはSalesforceに実装すべきかどうか、最初のフェーズではどこまでやるべきか、などの壁打ちからご支援に参画し、お客様と一緒に作り上げていくことで、お客様との長期的な関係を築きます。

お客様からは、「同じ目線に立って一緒に本質的な課題を見つけてくれるのがPraztoだ」というお言葉もいただきますが、課題を見つけてお客様と一緒にその課題を解決していくのが、我々の仕事だと思っています。

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オプロ

Praztoでお客様と話し合いながら支援していく際に、苦労する点はありますか。

 
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芳賀氏

お客様の組織に内製化の体制が整っていればスムーズにご支援させていただくことができるのですが、 お客様側で残念ながら導入構築から運用・保守までの全てを丸投げする体質があるとやはり上手くいかないことがあります。
「要件だけを決めて、自分たちはやらないよ」となってしまうと、我々のご支援が効果を発揮するのは難しくなります。

幸いSaaSのスタートアップ企業は丸投げ体制でないお客様がほとんどですので、結果的に、話し合いながら課題解決に向けた効果的なご支援をさせていただくお客様が多くなっているとも言えます。

Salesforceの良いところは、まず作ってお客様に価値をお見せし、そこからアジャイルで進めていくところにあります。
このアジャイルの形でできると、結果的には上手くいきます。

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オプロ

サブスクビジネスを展開している企業様の課題や、御社の伴走型支援について、大変よく分かりました。 芳賀さん、貴重なお話ありがとうございました。

インタビュー後編では、サブスクビジネスを上手く進めるために必要なポイントや、これからサブスクビジネスを始める企業がどのようにアプローチすれば良いのかを伺っていきます。

<プロフィール>

芳賀 怜史(はが さとし)

早稲田大学を卒業後、SIer、外資系マーケティング会社、Salesforceゴールドパートナー企業と3社の経験の中でエンジニアリングを通じて多くのお客様の課題解決を行う。「伴走型のSalesforce導入支援によるお客様への価値の提供、エンジニアリングを通じたオーナーシップのあるキャリアの創出」この両立を実現する事業を展開する株式会社Praztoを創業し独立。創業から現在に至るまでリードコンサルタントとして従事。多くのSaaS企業のSalesforce組織の構築において、Salesforce組織のあり方の討議から実装までを一気通貫でご支援し成功に導く。

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