株式会社タクミナ

業種
「製造」
企業規模
「500名規模」
製品
「モノスク」

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業界初、精密ポンプのサブスクサービスを起案
「モノのサブスク」黎明期にゼロベースから立ち上げた事業を支える管理システム

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カスタマーサクセス推進部 課長 嵯峨山 秀和氏(右)
カスタマーサクセス推進部 課長 腰塚 浩史氏(左)

精密ポンプのリーディングカンパニーである株式会社タクミナは、一定時間に決められた量を送る容積式ポンプの中でもダイヤフラム式ポンプの利点を追求したスムーズフローポンプを中心に製造・販売を手掛けている。クライアントのニーズに応えながら数多くの製品を開発してきた同社は、業界では初めての試みであるポンプのサブスクリプションサービスを立ち上げた。お客様により良いビジネス環境を提供したいという思いから生まれたこのサービスに、オプロの「モノスク」がどのように貢献しているのかをカスタマーサクセス推進部の嵯峨山氏と腰塚氏に伺った。

記事の要約
  • 【課題】業界初、ポンプのサブスク事業『どうせやるなら世の中にないものを思い切ってやれ』
  • 【選定】ローンチまで1年弱のプロジェクト 導入しやすく信頼できるサービスを選定
  • 【運用・評価】煩雑な在庫管理に対応 フレキシブルな契約管理の実現にも期待
  • 【今後】対象製品の拡大とサブスクビジネスの定着化でお客様のより良い環境を

【課題】業界初、ポンプのサブスク事業『どうせやるなら世の中にないものを思い切ってやれ』

細やかな用途別の精密ポンプを開発・提供してきたタクミナ。「常にお客様の立場で物事を考え、個性豊かな人間と、独創的な技術で世界に役立つ」という企業理念を体現するような、顧客の課題に応えるソリューション提供ともいえる形で製品を生み出している。特徴的なのは『ビフォーサービス』と言われる、製品購入前の顧客との深いコミュニケーションだ。

「創業者の教えは誠心誠意、その上で現会長が策定したお客様の立場で物事を考えると言う企業理念、これを糧に日々営業しています。そのため、ご相談をお受けする形で製品導入前のお客様の課題を共有いただき、それに即して最適な製品をご提案する『ビフォーサービス』を積極的に行っています。弊社の製品には数百万円に上るものもあり、購入には慎重になるのは十分に理解できます。お客様に最適解をより確実に提供するために必要なことはコミュニケーションだと思っています。」(嵯峨山氏)

顧客の「お困りごと」をともに解決しようというその姿勢は、研究施設まで生み出している。

「導入してもらっても本当にその課題を解決するかわからない。じゃあ、やれるかどうか試してみましょう、と検証するスペースを作りました。それが『ラボ』です。最初は普通の部屋を改造した『ラボ0』、次にシンナーなどの有機溶剤を使うような検証もできる『ラボ1』ができました。現在はよりお客様の現場条件に近い環境を再現し大規模な検証も可能にした『ラボ2』を運用しています。」(嵯峨山氏)

しかし、製品導入までのコミュニケーションは得意だった一方で、製品を導入した後のコミュニケーションが希薄だったという。

「我々の所属するカスタマーサクセス推進部は、設立当初は顧客満足度の向上を目的としていました。一昨年に現在の社長が就任した際に、さらにお客様の役に立つ新たなビジネスを作り出すことがミッションに加わったんです。何の制約もなくゼロベースで考えていいと。試行錯誤の中から生まれたのが、ポンプのサブスク事業です。」(嵯峨山氏)

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「今から7年ほど前、今回のサブスク事業の対象製品であるQシリーズが発売され、研究開発に携わる方々とのコミュニケーションが増えました。カーボンニュートラル達成に向けイノベーションが求められる中、研究プロセスの変化など様々な開発シーンについて知る機会が増え世の中の変化を感じる事も増えました。それがヒントになりました。自社の事業展開のための研究開発を行う企業はたくさんあるのにまだ出会えていない企業や研究者の方が遥かに多い。そういう方々にタクミナを知っていただき研究開発の時に、弊社の製品を必要な期間だけ気軽に利用できるような仕組みはないかなと思いました。そうしていきついたのがサブスクだったんですが、正直業界で受け入れられるのか、収益性はどうなのかなど不安が多く、リスクを考えたら事業化して良いのか?と言う葛藤はありました。でも社長の「どうせやるなら世の中にないものを思い切ってやれ」という言葉に背中を押されて、事業化に踏み切る事ができました。」(嵯峨山氏)

「サブスクについて調べていくうちに、だんだん面白いビジネスだなと感じるようになっていきました。世の中のビジネスモデルもリースやレンタルに変わってきている。産業機械の世界にもこの波が来るんじゃないか、と思いながら準備を進めました。でも、始めてみたら想像以上に大変でした。」(腰塚氏)

業界初のサブスクサービスの立ち上げを決めたタクミナ。立ち上げに当たっての課題は何だったのだろうか。

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「まず、お客様とどうつながるのかということ。通常の販売であれば営業や代理店が問い合わせ対応をし、必要な部署と連携しながら進めます。サブスク事業ではお客様と直接やり取りしたかったので、まずその仕組みをどう作るかを勉強しました。さらに、仕組みに合わせてその実現をサポートするサービスを探す中で、オプロのモノスクに出会ったという経緯でした。」(腰塚氏)

【選定】ローンチまで1年弱のプロジェクト 導入しやすく信頼できるサービスを選定

タクミナがサブスク事業のプロジェクトを開始した2023年6月時点では、モノのサブスク向けサービスはほとんどなかった。オプロのモノスクもリリースしたばかりのタイミングであった。

「サブスク事業のサービス開始を2024年4月としていたので、スクラッチで仕組みを作るのは難しい。そのため、既存のサービスを活用したかったのです。当時はサブスク管理向けサービスがまだ少なく、ネットで検索して5~6のサービスをピックアップしました。」(腰塚氏)

決め手は何だったのだろうか。

「実は弊社はSFAとしてSalesforceを利用していました。Salesforceは長年の運用でツールとしてもサポート体制も信用していましたし、連携できれば今後事業として展開していく上で何かと使い勝手がよいだろうと思いましたね。また、モノのサブスク向けのサービスがほとんど無かった中で、特化した機能を持つモノスクは非常に魅力的でした。」(嵯峨山氏)

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【運用・評価】煩雑な在庫管理に対応 フレキシブルな契約管理の実現にも期待

こうして2024年4月にサービスインしたサブスク事業。モノスクを導入してみてどうだったのだろうか。「まだ本格稼働から日が経っていないので、サービスとしては一巡していませんが」と前置きした上でお話しくださった。

「在庫管理機能は絶対必要だと思っていたので、当初予定より時期が遅れてはいましたが実装されてよかったです。あと、これは弊社のサービスの特殊なところなのですが、1か月単位での契約終了や延長、さらに契約金額の変更も発生するといったサービス内容になるので、その運用とポンプ管理の連携が高まるとありがたいですね。具体的には、契約更新時にシリアルナンバーを自動で引き継げるようにできると管理が楽だと思っています。これはすでにご相談しているので、ご対応をお待ちしています。」(腰塚氏)

「ソアスク・モノスクの導入経験豊富なパートナー企業であるSharing Innovationsさんが導入から運用において手厚く支援くださっているのが大きいですね。すごく熱心に取り組んでくださっていて、モノづくりの現場を見たいと兵庫県にある生産本部まで見学に来てくださいました。弊社の製品と、それをサブスクサービスで提供するということをしっかりと理解していただけているので、サービス運営に必要なシステムがスムーズに構築されたと思います。」(嵯峨山氏)

【今後】対象製品の拡大とサブスクビジネスの定着化でお客様のより良い環境を

今後の展望としてはどのような考えをお持ちなのだろうか。

「現在はQシリーズだけをサブスク対象製品としていますが、もっと大型のポンプなどもラインナップしていきたいと思っています。環境問題への配慮やコストダウンを図りながら新たなビジネスを生み出そうとする企業に対して、もっと豊富なラインナップでフレキシブルに対応していきたい。これは、長年この領域で取り組み豊富な製品群を持ち、かつサブスクサービスを展開している弊社ならではの強みだと考えています。また、導入後のお客様とのコンタクトポイントとして、製品の点検時期などを把握して最適なご提案ができるような仕組みを構築したいですね。」(嵯峨山氏)

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また、オプロには「この業界でのサブスクサービス=モノスクの拡大に期待したい」とおっしゃっていただいた。

「お客様がよりよい環境でビジネスをドライブしていくには、弊社製品だけではなくもっと選択肢があっていい。この業界でサブスクというビジネスモデルを定着させるためにも、タクミナだけでなく同業他社や周辺工程の機器や機械にもサブスクの輪が拡がってほしいと思います。同業他社が入ってくるのは当たり前だと思って事業をスタートしていますので、業界全体で切磋琢磨していければと思いますね。」(嵯峨山氏)

業界をけん引するリーディングカンパニーでありながら、常に顧客目線とフロンティア精神をもって取り組むタクミナ。タクミナと業界のさらなる可能性の広がりを感じるとともに、オプロの技術が一助となればと気持ちを新たにする貴重なお時間をいただいた。