2024年05月21日 公開
サブスクリプションビジネスの契約管理とは?その重要性と管理方法を解説!
『契約管理』と聞いて、どのようなイメージを思い浮かべますか?
おそらく、企業間取引の中でも、特定のプロジェクトやサービスのための一度きりまたは固定期間の契約に焦点を当てた契約の管理を想像するのではないでしょうか?
サブスクリプションビジネスにおいて契約管理は、また違った視点での契約管理が求められます。なぜなら、売り切り型ビジネスと異なり、定期的な課金・請求が発生するからです。
特に近年のBtoBサブスクの場合、BtoCよりもプランやオプションが複雑になりやすく、そのため顧客の利用状況に応じたプランの変更、顧客ごとの特約、ID数の増減などが頻繁に発生します。ビジネスの規模が大きくなるほど契約数は増え、様々な料金体系や有効期限の契約が混在することになります。それらを効率的に管理するには、契約管理表や台帳を用意する必要があります。
そこで今回は、契約管理の基本から、その重要性、さらには具体的な契約管理方法について詳しく解説していきます。
契約管理とその重要性
契約管理とは、顧客ごとにどの商材(商品、プラン、サービスなど)を、どのぐらいの数量や期間で購入または利用するのかを管理することです。一般的に全ての顧客と同じ条件で契約しているということはなく、顧客ごとに異なる条件で契約する場合が多いです。
ここからは、売り切り型ビジネスとサブスクリプションビジネスそれぞれにおける契約管理の違いと、その重要性について詳しく見ていきましょう。
売り切り型ビジネスにおける契約管理
売り切り型ビジネスとは、一度の取引で商品の提供が完了するタイプのビジネスを言います。たとえばオフィス向けの什器の販売や、プロジェクト型の役務提供などがそれに当たります。
売り切り型ビジネスの契約はサブスクビジネスの契約と比較するとシンプルです。業務フローで見ると、受注を起点として商品やサービスの提供をした後、請求金額の計算、請求書の発行、決済、入金処理などが連続して行われ終了します。このフローが1つの受注に対して1回だけ走ります。
サブスクリプションビジネスにおける契約管理
一方、サブスクリプションビジネスは、売り切り型とは異なり、1つの契約に対し、複数のタイミングで請求や入金のフローが発生します。顧客毎に契約プラン、利用期間、選択された決済手段や課金モデル、オプション、ID数などを把握し、それらが任意のタイミングで変更される可能性も考慮に入れなければなりません。
こうした契約内容を、請求時に把握する必要があるため、サブスクリプションビジネスでは契約管理が複雑になりやすく、正確かつ効率的に管理する仕組みづくりが求められます。
契約管理の重要性
サブスクリプションビジネスにおいて、契約管理を正しく行えていないと、以下のようなリスクがあります。
- 請求書作成時にミスが生じ、手戻りの発生や、請求書の発行遅れの原因になる。
- 誤った請求書を発行してしまうことにより、顧客とのトラブルのもとになる。
- 正しいデータを蓄積できず、経営指標の予測の精度が落ちる。
このようなリスクを避けるために、顧客が利用している契約プラン、利用期間、選択した支払い方法などの詳細を明確に管理する体制を整備することが重要です。毎月の請求の際にすべての契約書を一つ一つ確認するのは非効率なため、契約管理システムを用いてこのプロセスをスムーズに行うことが求められます。そうすることで、請求プロセスが効率的かつ正確に行われ、顧客満足度を維持しながらビジネスの成長を支えることができるのです。
サブスクリプションビジネスにおける契約管理の難しさ
ここからは、サブスクリプションビジネスの契約管理について詳しく見ていきましょう。
契約期間の管理が複雑
サブスクリプションビジネスの契約管理は、契約期間や更新期限の管理が複雑になりがちです。顧客ごとに契約期間が異なるため、それぞれの契約開始日と終了日を把握し、それに合わせたサービス提供や課金を行わなければなりません。
また、契約の更新だけでなく、プラン変更、オプション追加、ID追加といった契約内容の変更に対しても期間の管理が発生するため、契約内容と期間に応じて請求を変更するなど、適切に対応する必要があります。
こうした顧客ごとの契約管理は、事業を開始して間もないタイミングでは問題なく行えても、顧客や従業員数が増えるほど管理は複雑化し、管理コストが増大します。その結果、人的ミスが生じる可能性も高まってしまうのです。
プラン変更・オプション追加で契約がさらに複雑化
一般的に、BtoBのサブスク型サービスでは、顧客ターゲットのセグメントに応じた複数のプランやオプションが存在します。顧客の企業規模の成長に合わせてプランをアップグレードしたり、ID数を追加するなど、契約管理は状況に合わせて柔軟に行う必要があります。また、契約期間中の任意のタイミングでプラン変更やオプション追加が可能なのもサブスクビジネスの特長です。
例えば、MiddleプランからLargeプランに変更した場合、変更日からLargeプランの料金を適用することが一般的です。また、オプションを途中で追加した場合も、追加日から追加料金が発生します。こうした変更を正確に把握し、適切に課金するためには、日々の契約管理が欠かせません。
近年は、このような料金プランを柔軟に試行錯誤できるよう工夫しておくことが、サブスクビジネスの成功に欠かせません。オプロが実施した「BtoBサブスクビジネス実態調査2024」によると、事業立ち上げ時の苦労として「料金プランの策定」を挙げた企業の割合は、25名以下の企業で14%だったのに対し、それ以上の企業では3~8%でおさまっています。プライシングに対する課題感を乗り越えることが、ビジネス成長の1つのカギになっていると言えるでしょう。
課金モデルごとに異なる料金計算が必要
サブスクリプションビジネスでは、月額固定料金のシンプルな定額モデルだけでなく、使用量やID数に基づく従量課金モデル、時間単位の課金、変動従量型、上限・下限を設けるモデル、スポット型といった様々な課金モデルが存在します。そのビジネスモデルやサービス内容によって料金計算が異なるため、それぞれに対応した料金計算の仕組みが必要です。
これらを一括りに管理し、正確に請求するためには、各課金モデルに対応した料金計算の仕組みが必要となります。
また、単純な計算だけでなく、ディスカウントキャンペーンやトライアル期間の適用、消費税の計算など、複雑な計算要素を含む場合もあります。
それぞれの計算要素を組み合わせて正確な請求額を出すことは、手作業では非常に難しいです。このような課金モデルごとの料金計算は、サブスクビジネスの契約管理において必須ですが、その複雑さをどのように解消するかを考える必要があるでしょう。
エクセル・スプレッドシートを使って契約管理をする場合
エクセルやスプレッドシートは、その手軽さから多くの企業で契約管理のツールとして利用されています。ここからは、エクセル・スプレッドシートを使った契約管理の方法とその限界について詳しく解説します。
エクセル・スプレッドシートを使った契約管理の方法
ExcelやGoogleスプレッドシートは一般的に利用されているツールのため、契約管理を手軽に始めることができます。
これらはファイルがクラウド上にあれば、いつでもどこからでもアクセス可能で、自動でデータが保存されます。また、複数人での共同作業も容易で、普及率が高いため導入ハードルも低いです。
エクセルやスプレッドシートを使って契約管理を行うには、まず各契約の詳細を一覧表にまとめます。顧客の名前、契約日、契約期間、契約内容、費用など、必要な項目を列に設け、それぞれの契約を行ごとに記入しましょう。
次に、契約の更新や終了、変更があった時点で、その都度情報を更新します。最新の状態を保つことが重要です。関数、VBA、スクリプトを活用することで、自動的に期間終了の通知や費用の集計を行うこともできます。
エクセル・スプレッドシートによる管理の限界
事業が立ち上がったばかりの頃は、関わる社員や顧客の数が少ない場合が多いため、ExcelやGoogleスプレッドシートを使って契約管理をしてもすぐに問題にはなりません。これらのツールは手軽で誰でも使えるうえ、少人数での管理には十分対応できるでしょう。
しかし、事業が軌道に乗り、顧客数が増えてくると、情報変更の頻度が高くなり、それに伴ってデータ入力ミスも増加します。さらに、従業員が増えると、従業員ごとの操作の練度や運用ルールの理解度にバラツキが出るため、ファイル管理にかかる手間が増え、権限設定やデータ修復、社内ルールの策定など、余計な作業も必要になってくるのです。
加えて、保存する情報量が増えるにつれ、スプレッドシートの動作が重たくなり、生産性の低下にも繋がります。変更履歴の管理も難しくなり、一度発生したエラーを修復するのが大変になったり、場合によっては不可能になったりすることもあります。
長年サービスを提供していて、顧客数や取引量が増えてきた企業は、こうした問題にぶつかることが少なくありません。「BtoBサブスクビジネス実態調査2024」によると、サブスクの契約管理をExcelやGoogleスプレッドシートで管理している企業の割合は、1年未満の企業では31%であるのに対し、1年以上の企業では11〜17%に減っています。多くの企業がExcelやGoogleスプレッドシートから、より専門的なCRMやERPシステムなどに移行しているのです。こうした専門のツールへの移行は、データの一貫性を保ち、エラーを減らすための効果的な解決策となるでしょう。
サブスクビジネスの契約管理に特化した「ソアスク」のご紹介
サブスクリプションビジネスの契約管理なら「ソアスク」がおすすめです。ソアスクは、BtoBサブスク販売管理に特化したサービスで、見積、契約、売上、請求などの業務プロセスを効率化し、事業成長を支援します。
ソアスクの特長とメリット
ソアスクは、Salesforceプラットフォームで動作するため、Sales Cloudとの連携によって、既存の商談情報を活用してスムーズに契約管理を行えるのが特長です。
また、会計・債権管理サービスとのデータ連携により、各部門の情報を一元管理し、業務効率を向上させます。サブスクビジネスのKPIをリアルタイムに可視化し、データドリブンな意思決定を支援するほか、契約の更新、解約、アップセル、ダウンセルなどを効率的に管理できます。
さらに、請求書などの検索性を高め、帳票発行や送付作業を自動化し、業務負荷を軽減します。
ソアスクの契約管理機能
ソアスクでは、サブスク型の課金モデルはもちろん、物販やプロジェクト受託型のような売り切り型ビジネスの価格設計・管理ができます。見積データの作成から見積書発行までを一元化し、サブスク契約の変更、更新、解約を効率的に管理できます。契約期間に応じた請求データ作成と請求書発行、クレジットカード決済にも対応しています。さらに、顧客向け契約管理のセルフサービスを提供するマイページ機能も備えています。
ソアスクは、BtoBサブスクリプションビジネスの成長に欠かせない契約管理業務を効率化し、情報の一元管理を実現します。サブスクビジネスの課題解決と事業成長に貢献するソアスクを、ぜひご検討ください。
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