請求書業務を「もっと前へ」――SaaS×Fintechのリーディングカンパニー・マネーフォワードの「デジタルインボイス本部」の現場

"先駆者に聞く"では、サブスクリプションモデルのビジネス(以下、サブスクビジネス)に携わる人に、サービスにおける運営の秘訣や大切にしていることなどを伺い、サブスクビジネスを成功させるヒントを掴むためのコンテンツをお届けします。

「お金を前へ。人生をもっと前へ。」をミッションに「すべての人の"お金のプラットフォーム"になる」ことをビジョンとして目指す株式会社マネーフォワード(以下マネーフォワード)は、個人向け・法人向けに金融系のWebサービスを提供するリーディングカンパニーとして知られています。
法人向けSaaS型プラットフォームサービスである「マネーフォワード クラウド」をご存じの方も多いのではないでしょうか。

今回お話をお伺いしたのは、マネーフォワードビジネスカンパニー デジタルインボイス本部 本部長の駒井俊一氏。この部署で進める、インボイス領域での取り組みについて、深掘りしていきます。

※本インタビューは2023年12月に実施されたものです。

インボイス領域の事業を担うデジタルインボイス本部

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吉田

まずは、駒井様の経歴についてお聞かせいただけますか。

 
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駒井

新卒で、総合人材サービスを提供するパーソルグループにジョインしました。
キャリアとしてはまず営業から始まって、その後、BPO、いわゆるアウトソーシング部門のプロジェクトマネジャーやサービス責任者を務めました。それから、アウトソーシングの中でも、セールスやマーケティングに特化したアウトソーシングサービスの部門で、デジタルマーケティングサービスと自社の営業・マーケティングの責任者になり、パーソルグループには約15年ほど在籍しました。

その後、マネーフォワードに転職し、主にBtoB向けのSaaSを展開するマネーフォワードビジネスカンパニーのデジタルインボイス本部に所属しています。

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吉田

次にマネーフォワードビジネスカンパニーについての概要と、デジタルインボイス本部について、それぞれご説明いただけますか。

 
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駒井

マネーフォワードはグループ全体で50を超えるプロダクトを提供していますが、 その中でBtoB向けのSaaSプロダクトを扱うのがマネーフォワードビジネスカンパニーです。経理や人事労務、法務などのバックオフィス全体を網羅する「マネーフォワード クラウド」を提供しており、そのプロダクト数は30を超えます。その中で、デジタルインボイス本部はインボイス領域の事業を担っており、『マネーフォワード クラウド債務支払』や『マネーフォワード クラウドインボイス』といった主に請求書の発行や受領に関わるプロダクトを担当しています。

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出典:株式会社マネーフォワード 会社紹介 / Company Profile(2024年1月19日時点)

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吉田

駒井さんが入社されたときに、すでにデジタルインボイス本部はあったのですか?

 
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駒井

入社した2022年のタイミングで新設された本部となります。
ちょうどインボイス制度の開始や、電子帳簿保存法の法改正を控えたタイミングであり、インボイス領域で新たな事業の柱を創っていこうという意志のもと本部が新設され、本部の発足とともに入社しました。

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吉田

デジタルインボイス本部として規模はどのぐらいですか。

 
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駒井

100名ほどの体制で取り組んでいます。日本国内では、東京のほか福岡に開発の拠点があり、さらにグローバル開発拠点として、ベトナムとインドがあります。

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吉田

『マネーフォワード クラウド』は、会計のイメージが強いですが、駒井さんの部門はどのような位置づけなのでしょうか。

 
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駒井

おっしゃる通り、初めに提供を開始したプロダクトは会計ですが、現在は会計以外のプロダクトも幅広く提供しています。ドメインが違うところだと、人事領域もそうですし、契約領域もそうです。会計以外の経理財務領域では、例えば、受領した請求書を登録し会計ソフトに仕訳連携するサービスや請求書の発行、申請・承認、発送をラクにするサービスなどを提供しています。デジタルインボイス本部ではまさに、インボイス制度対応に関わる請求書の受領や発行に関連したサービスを開発・提供しています。

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ターゲットは中堅企業―実現するのは、「業務効率化」「働き方改革」

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吉田

デジタルインボイス本部は、従来のマネーフォワードの顧客のターゲット層に向けたサービスを展開していくのでしょうか。そのあたりの戦略についてお聞かせください。

 
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駒井

創業時代から振り返ると、まず、個人向けの家計簿サービスがあり、そこからBtoBに派生し、個人事業主からSMBへと成長してきました。現在は中堅規模以上のお客様にも導入いただくことが増えており、デジタルインボイス本部がサービスを提供する先も、中堅企業以上が多くの割合を占めます。
顧客のニーズとして多いのは法対応のほか、業務効率化や働き方改革もあります。
いままでは紙で請求書を受け取っていたために出社が必須であったところを、デジタル化すれば、リモートでの対応が可能になります。そうすると、働き方改革も進めやすくなります。

特に請求書の受領枚数や、発行枚数が多い企業では、デジタル化による業務効率や働き方改善の効果が大きいと考えています。

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吉田

導入にあたっては、既存のシステムからどう変えるかなど移行のハードルが高いのではないかと思うのですが、そのあたり配慮されている点はありますか。

 
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駒井

おっしゃる通り、中堅規模のお客様の場合、何かしらの既存システムが入っているため、 請求書の受領から支払いにおける業務フロー、ワークフローについて詳細にヒアリングを行った上で、既存システムと新たに導入する我々のプロダクトとの棲み分けを提案していますね。

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新規マーケットへ―新しい顧客へ新しい価値を提供

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吉田

デジタルインボイス本部としてご提案される企業は、既にマネーフォワードとの接点がある企業が多いのでしょうか。それとも、新しいマーケットを開拓していくイメージでしょうか。

 
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駒井

どちらもありますが、注力しているのは新規のマーケットですね。
インボイス領域自体もできて間もない市場です。まだまだ白地の多い中で、マネーフォワードの既存資産ももちろん活用しますが、新規のお客様にも新たな価値を提供していきたいですし、そこがメインミッションと考えています。

ザ・モデル型を採用した組織構成とKPI・KGI設定の勘所

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吉田

次に御社のSaaSビジネスの体制について教えてください。

 
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駒井

まず事業全体の売上目標を置いて、その中でも、サブスクの特徴であるストックの売上、MRRの指標を最重要KGIとしています。
組織構成としては、ザ・モデル型で、マーケティング、インサイドセールス、フィールドセールス、カスタマーサクセスとチームを分けており、それぞれにKPI設計をしています。気をつけているのは、ザ・モデル型でやるとどうしても部門のKPIだけを追いがちになってしまうことです。一方で、本部のKGIであるMRRをメンバー全員が追いましょうと言っても具体的なアクションに繋がりづらいという課題があります。ですので、その部門でコントロールできるKPIの一歩先のKPIを目標として設定することを意識しています。

例えば、マーケティング部門であればマーケティング活動でコントロールするリード獲得が主になりがちですが、そこから先の商談化件数をKPIとして設定したりといったことです。インサイドセールスで言うと、同じく商談獲得はコントロール可能ですが、その先の案件化まで貢献するという目標を設定してPDCAを回すことを意識しています。

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吉田

デジタルインボイス本部では、KPI・KGIなどは他の事業の実績を参考に設定しているのでしょうか。

 
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駒井

新設部署ですので、新たにトライすることも多いです。最近思うのはプロダクトのフェーズをしっかり理解して、そこにおけるKPIだったりリソース・コストなどを事前に設計することが重要だということです。

我々が提供するいくつかのプロダクトは、ある程度マーケットで認知いただいており、そういうプロダクトはマーケやインサイドで数字を予測しやすいです。一方で、そこには到達しないアーリーステージのプロダクトもあります。
同じ傘の中で同一の指標で評価してしまうと、どうしても投資効率のいいところにリソース配分するという力学が働いてしまうのですが、そうすると、2~3年後の成長を鈍化させる要因になってしまう。そこで、予算設計の段階で、割合を、9:1であるとか、8:2と決めて、その1とか2は絶対に何があっても動かさないという前提で、予算設計、リソースの配分をしていきます。

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「User Focus」のカルチャーのもと、ブレない戦略で開発を進める

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吉田

最後に成長するサブスク企業として企業文化について教えてください。
SaaS業界のトップ集団の中でどのような社風があるか、目指されている方向についてお教えください。

 
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駒井

グループ全体で言うと、MVVC(MISSION・VISION・VALUES・CULTURE)が非常に浸透しており、特に VALUES の一つである「User Focus」が全ての判断の根底にあると感じます。
User Focusとは、常にユーザーを見つめ続け、本質的な課題を理解し、ユーザーの期待や想像を超えた価値を提供しましょう、ということです。私がマネーフォワードに入ってすごいと思ったのは、そうした意識が日常の会話の中で普通に出てくることです。
例えば、意思決定するときにそれって本当にUser Focusかな?といった問いが出てきます。このUser Focusの意識の徹底がマネーフォワードの強みになっていて、プロダクトの進化を考える際にも、軸としてブレない考え方だと感じています。
 
デジタルインボイス本部で言えば、グループ全体のミッションに加えて、請求書領域にまつわるバックオフィスの方々の業務や、働き方をもっと前に進めるというミッションを、今後もブレずに、プロダクト開発に反映していきたいと考えています。

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吉田

今日は、貴重なお話をありがとうございました。

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