サブスクで重要性が高まる請求から入金に至る債権管理とは?

サブスクビジネスの売上計上について

サブスクビジネスでは、月額契約や年額契約など様々な契約形態が存在します。
そのため、経理処理が複雑となり担当者の頭を悩ませているケースも少なくありません。

年額契約の場合では、1年分のサービスを継続的に提供する事を前提にサービスの提供期間の未経過分も含めた金額を先に受領することとなります。
その場合、会計処理上は支払いを受けた1年分の金額のうち、サービス提供の経過分を売上高に計上し未経過分は前受金として処理します。その後、経過月ごとに前受金を月次で売上高に振替処理を行うという流れが一般的です。

会計基準について知らない場合や知っていても経理処理が手間であったり場合によっては、当期の売上に入れたいといった理由で前受金の処理を行っていない企業もあるようです。

IPOを目指すSaaS企業が、申請のタイミングで焦って経理処理の体制を整えているといった事もよく耳にします。ユーザー数が増加するほど経理処理の切り替えに労力が大きくなります。早い段階から正しい売上計上について理解しておく事が大切です。

サブスクで増える請求、入金処理のトランザクションにどう対処するのか

ではどのように対応していくのが良いのでしょうか?

売上計上までの業務フローを正しく整えていくためにはフロントである販売業務から請求書発行そして入金処理までの一連の業務フローを整理していく必要性があります。
そのためにも、まずサブスクビジネスと通常の取引における経理処理の違いを理解する事がはじめの一歩となります。

サブスクビジネスでは、ユーザーの利用に対し毎月請求書を発行する場合もあれば、半年、1年、2年などの期間分の費用を一括請求することも良くあります。

たとえばオンプレミス(売り切り型)の12万円のパッケージ製品を1月に販売した場合は、1月の締め日までに12万円の請求書を発行し、2月末に顧客から銀行に12万円の振り込みが行われるのが普通でしょう。
この場合の会計処理は、1月に借方勘定で売掛金12万円、貸方に売上12万円を計上し、2月に借方で預金12万円、貸方に売掛金12万円の2つだけで済みます。

これがサブスクの場合、月額1万円のサービス利用料1年分の12万円を、1月中に一括の請求書として発行します。請求した12万円にはまだ利用していないサービス利用費用も含まれているので、その分は前受金処理にします。

そのため1月にまず借方で売掛金12万円、貸方で前受金12万円を計上し、同じ1月に1月の利用料分の1万円を借方の前受金、貸方では売上で計上します。
2月も同様に1万円の前受金と売上を計上し、さらに入金される12万円を借方で預金に、貸方では売掛金に計上します。そして以降は1万円ずつ前受金および売上の計上を、12月まで続けることになります。

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つまり同じ1件12万円の請求書でも、オンプレミスのパッケージを売った場合とサブスクでは、前者が2本で済む仕訳本数が後者では14本にもなるのです。
このやり方だけがサブスク会計処理の唯一の正解ではありませんが、サブスクでは仕訳本数が大幅に増えることになるでしょう。

さらに請求だけでなく、入金消込の処理も並行して経理担当者は行わなければなりません。
毎月請求の顧客もあれば、半年請求、1年請求など顧客ごとに請求単位が異なることもあるでしょう。また一括請求の場合は、割引が適用されるかもしれません。
それをきちんと分割して前受金の処理をしなければなりません。

また毎月請求のユーザーであるサブスクサービスを1月から利用し、さらに別のサービスを4月から利用し始めることもあるでしょう。そして5月からは、2つのサービスの代金が合算されて入金されるはずです。
これらに対応する入金消込の作業は、かなり複雑化し手間のかかるものになるはずです。

このようなサブスクの複雑な請求、入金管理の処理を正確かつ迅速に行うのは、サブスクユーザーが増えれば経理担当者にとって極めて大きな負担となってしまうことは憶えておくべきです。

サブスクに特化した機能を持つ販売管理や入金管理サービスを活用する

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サブスクユーザーの請求データを販売管理システムなどから抽出し、毎月の請求、入金管理、一括請求を分割して入金タイミングに合わせ前受金処理するための管理を、Excelなどを用い行っているケースは多いでしょう。
サブスクのユーザー数が少なければ、Excelを駆使して経理担当の人海戦術でなんとか月末業務を乗り越えられるかもしれません。

しかしビジネスが順調に拡大し、100、500、1000とユーザー数が増えれば、もはやExcelの手作業でサブスクの請求、入金管理をするのは現実的ではありません。

Excelを使った手作業では人為的なミスも発生するでしょう。顧客に対し間違った督促をしてしまえば、それは顧客との関係性を大きく損なうことにもなりかねません。

入金の遅延は、顧客との間で何らかのトラブルや齟齬が発生しており、顧客のヘルススコア的な面で問題が発生している現れかもしれません。
つまりサブスクの請求、入金管理を迅速かつ正確に実施しその状況を把握できるようにすることは、顧客との良好な関係を維持しチャーンレートを下げないようにするためにも重要な要素となるのです。

一部のERP会計システムなどには、最近になりサブスクに対応するための機能が追加されつつあります。しかしながらそれらだけで、複雑なサブスクの債権管理業務を十分にカバーできるには至っていないようです。
サブスクの請求、入金のExcel管理からいち早く脱するためにも、サブスクに特化した機能を持つ販売管理サービスや入金管理サービスを利用するべきです。

特に、サブスクビジネスの拡大でIPOなどを目指すような企業では、そういったサービスと既存の会計システムや販売管理システムを上手く連携させ、透明性の高い会計処理の実現が重要となるでしょう。

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この記事のライター
サビ研編集部 オプロボット
サビ研編集部 オプロボット

サブスクリプションビジネス研究のため、サブスクの情報だけを発信し続けます。

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サブスクリプションビジネス研究のため、サブスクの情報だけを発信し続けます。

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